イノベーションの風に吹かれて

山下技術開発事務所 (YAMASHITA Technology & Engineering Office, LLC)

2020-01-01から1年間の記事一覧

抽象化がもたらすもの~ソフトウェアアーキテクチャとは

抽象化がもたらすもの抽象化とはある機能が果たしている動作やパラメーターを還元主義的に再構築したものである。デジタルカメラはカメラの持っている機能を再構築することではなく、フィルムをCCDに置き換えることで成立している。ゆえに、デジタルカメラは…

欲望の資本主義4 スティグリッツ×ファーガソン 不確実性への挑戦: コロナ危機の本質

ファーガソンは歴史学者としてパンデミックの歴史的評価を「これまで国家が準備し十分だと思われていた対策が実は全く効果がなく最悪の対応になった。また、その理由は述べられていない。」と口にする。都市のシャットダウンはさらに経済を停滞させ、自らシ…

インターネットが邪悪で強欲な意思に支配された【ケンブリッジアナリティカ事件】

インターネットが邪悪で強欲な意思に支配される 本書はケンブリッジアナリティカ事件の中心にいた研究者であり技術者の告発であり、その裏側の邪悪な意思のストーリーです。パーソナルプロファイリングの5因子やフィルターバブル、コミュニティクラスター、…

マルクス・ガブリエルが唱える精神のワクチンとは?NHK BS1スペシャル

マルクス・ガブリエルが唱える精神のワクチンとは?NHK BS1スペシャル コロナに対する行動を慎重(10)から無視(1)とした時に自分の行動指針は7くらいでガブリエルさんと同じくらい。3くらいの人がマスク拒否したり集会開いたりするのは、どうかと思うけどでき…

コモンズの謎を解く、資本主義の行く末の一つの答え

著者はあとがきでひとりごちる「マルクスで脱成長なんて正気か?」革新という古臭さを乗り越えてマルクス主義に立ち戻るなんていう衝撃をあなたは受け止めることができるか? ジェレミー・リフキンの限界費用ゼロ社会、デビッド・グレーバーの負債論、スティ…

映画ブレードランナーの胡蝶の夢は、ゲーデルの不思議の輪

マルクス・ガブリエル 危機の時代を語る (NHK出版新書 635)新書 – 2020/9/10丸山 俊一 (著), NHK 「欲望の時代の哲学」制作班 (著) 急激に変化する価値観の中で普遍でなどいられない。 アメリカンフリーダムなんて、相変わらず「自由を強いる」ことで世界を…

経済は良心的な中産階級を取り戻すことができるのか

ジョセフ・E・スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM ~経済学のこれまでの理論は間違っているらしいですよ~ ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授の最新作です。一貫してトランプを反知性政権としてその政策のほとんどを滅多切りにしています。…

IBM Distinguished Engineerだったもの(いわゆる退職エントリー)

IBM Distinguished Engineerだったもの(いわゆる退職エントリー) 私事ですが、33年勤務したIBMを退職することにしました。2007年にエンジニアの最高職のIBM Distinguished Engineerに指名され最高の栄誉をいただいたこの会社に対して、深く深く感謝させて…

マイクロサービスのコンテナクラスター

先日の白熱塾ではインフラ系のOSSのクラスタリングやデリバリパイプラインの系譜について話してきた。「OSSの話じゃない」と言われたので、このブログではまったくOSSのソフトウェアに触れず機能だけを解説することにしてみた。ご参考になれば。 Delivery Pi…

欲望の資本主義2020 日本・不確実性への挑戦

ここで示される日本の課題は高齢化、分断そして格差だ。 ジャック・アタリは日本の競争力は低下し続けていて先進諸国最下位だと言う。森田長太郎は長期的な労働対価の低下の原因として、IT産業を頭脳資本主義と槍玉にあげる。IT産業の能力格差は鉱工業生産性…