賃上げしようよ
来季のご依頼をいただきつつありますが、これが書けない気持ちがわかる・・・「諸経費高騰の折、お取り引き価格についてプラス15%ほどの価格調整をお願いいたしたく存じます。」
春闘の季節となり、日本の製造業のサプライチェーンを支えている中小企業において賃上げが進まないというニュースがあちらこちらで流されています。原価高騰による価格交渉では材料の仕入れについてはある程度の理解が得られるものの、電気代や人件費については原価としては認められず我慢を強いられているようです。製品力を強化することができれば良いだろうがそうでなければ「親会社から付き合いを止められる、競合に取引が移ってしまう」という恐怖から経営者は人件費を転嫁することができず人件費は逆に圧縮する対象となっています。そもそも古い日本の製造業の発注側では原価は材料+加工機械の減価償却で残りを粗利として、下請けはそこから企業努力で人件費を支払うような考えになっている。本来管理会計としては、人件費を製品原価として考えるということで、人的資源を企業活動の重要な資源として位置付けることになっていると思う。極論するなら、工場従業員の給与を上げて競合の従業員をこちらに引きつければ取引を独占できて価格支配力を得ることができるというストーリーも成り立ち、逆に人件費を圧縮したら貴重な人材を競合に引き抜かれてしまうというリスクとして捉えることが大事になります。(きれいごとだよな)