イノベーションの風に吹かれて

山下技術開発事務所 (YAMASHITA Technology & Engineering Office, LLC)

日経記事 「物価はなぜ上がらないのか アマゾン・AIで構造変化?」

物価はなぜ上がらないのか アマゾン・AIで構造変化?

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49396010U9A900C1I00000/

 

グローバルサプライチェーンによって拡大した経済圏では需給をベースにした価格調整機能は働かず、失業率が下がっていても物価は上がらない。また、デジタルエコノミーによる超効率経済では生産物流の合理化がすすみ、様々なプロセスをバイパスすることで中間の需要を喪失し、そして最終価格は需給には無抵抗に下がってしまう。そのデフレ圧力下ではものよりお金の価値が高くなり皆、お金を持っていたいので貯蓄は増えて企業は不確実性に備えてキャッシュを積み増す。そして需要がどんどん消え去っていく。

記事の中では言う。「金融政策の力には限界があり、財政政策が重要になる。それは政治的なイデオロギーではなく、経済的な現実だ」(ローレンス・サマーズ前財務長官)

ITが経済をぶっ壊しているというのは、ITをコストダウンにだけ利用しようとしているからだ。今から必要なことは経済性を損なっても人類の未来のためになることに多くの支出をすることだろうと思う(SDGs)。地球温暖化や海洋プラスチックというような課題に直接的な投資をすべきだと思うが、経済合理性がないのでそれに代わる新しい共同幻想を作り出すことは可能だろうか。