イノベーションの風に吹かれて

山下技術開発事務所 (YAMASHITA Technology & Engineering Office, LLC)

2045年アンケート

(Q1)2045年に向け想像しにくいが最もインパクトのある変化は何だと思いますか?
あらゆるものがデジタルによって制御されている環境。人間の認知限界を超えた情報処理能力を前にして人類はどう発展するか?かつて人類は移動速度や情報伝達という世界で人間能力を超えた発明を手中に発展して来たが、認知(Cognitive)という領域でもその能力を人間能力を拡大(Augment)して手中に納めることができるだろうか。

(Q2)Q1の状態に至る間に、どのようなことが起きていくと思いますか?
かつてない高精細なデジタル情報が実社会を超えた現実を創り出すことができるようになる。4Kや8Kの情報量は人間には認識できないくらい小さな画像から対象物(人)を認識できる情報処理を可能にする。現在起こっているサイバーワールドのデジタルによる需要の生成・把握・管理・予測というような高度なマーケティングを基にした情報が実社会の生産や流通という社会活動を制御するような社会に発展している。さらに情報ビットの値が0と1しかない現在ですら情報処理は人類の認知限界を超えているが、量子ビットによる多値コンピューターや人間の脳と同じ回路を有するシナプス回路などがさらなる情報処理の高度化を進めていくと考える。
しかし、効率化や生産性を向上させるという一直線一方向への情報投資はモノやサービスの生産コストを限界まで引き下げるためにある一定の平衡点があるだろうと思う。限界費用がゼロに近くなった時に、資本主義はどう変化するべきなのか、ジェレミーリフキンの言うようにシェアリングエコノミーになるのかどうかは議論がある。Uberは(タクシーをスマホで予約できるという機能というようなチンケなものではなく)乗り手と貸し手の信用評価というようないままでにない情報を生み出してプラットフォームを拡大してきた。実社会のマーケット(お金の流通量)から得られる利得よりもプラットフォームを握ることで得られる情報の流通量の利得と評価を目指していることに気づくべきだ。

(Q3)次世代に社会を渡していくために、取り組むべきことは何だと思いますか?
目に見えないことを理解する力をつけること。しかし現代日本では「日本には科学を論じないしきたりがある」と物理学者の山口栄一氏は言う。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140819/371343/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt
科学や技術について知見を持たずにあらゆることが判断されている社会に警鐘を鳴らしたい。現在起こっていることを理解するためには最低限の技術的な素養がすでに必要で、それを有している人は限られている。経済産業省産業構造審議会でYahooの安宅和人氏「シン・ニホン AI ×データ時代における日本の再生と人材育成」には取り組むべき課題とスタートポイントが描かれている。http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shin_sangyoukouzou/pdf/013_06_00.pdf
STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)+Materialが重要な領域になると思う。

(Q4)30年後のあなたは、2017年のあなたに何を伝えたいと思うと思いますか?
「じゃまオジ*」にならずLeadership that mattersになりなさい。
(じゃまオジ=安宅さん資料P.30)